最貧層の少し上の層を狙い、ビジネスに持続性を−BOP市場セミナー− (インド、日本) - 世界のビジネスニュース(通商弘報) - ジェトロ
最貧層の少し上の層を狙い、ビジネスに持続性を−BOP市場セミナー− (インド、日本)
2012年4月4日 ムンバイ発
ジェトロは2月23日、経済産業省との共催で「BOP・ボリュームゾーン市場セミナー」を開催した。同セミナーは、現場からの報告に重点を置いて日本とインド両国の関係者が発表したこともあって、当日の参加者は約200人に上った。
「BOPビジネスモデルの構築に向けて:現場からの報告」セミナーは、経済ピラミッドの底辺にある最貧層を対象にしたジェトロのBOPビジネス・パートナーシップ構築支援事業での経験を幅広く発信することで、BOPビジネスに対する関心を呼び起こし、事業化検討の一助とするために実施された。既にジェトロは2011年4月、インドにBOPミッションを派遣し、日本企業に実際のBOPビジネスの現場などを見てもらう機会を提供している。
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<アフターサービス網の整備が重要>
セミナーでは、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)副社長のパンカジ・バリガ氏が、タタ・グループを代表して同グループのBOPビジネスや社会的責任(CSR)のコンセプトを説明した。グループがビジネスを通じて社会に貢献するという企業理念を持つため、BOPビジネスはおのずと重要になる一方で、ビジネスとしての持続性がなければ社会貢献も不可能との認識から、最貧層ではなく、その少し上の層を狙ってBOPビジネスを展開しているという。
実際、同グループのBOPビジネスは、例えば低価格乗用車「タタ・ナノ」や低価格住宅、あるいは浄水器などで、最貧層というよりはある程� ��の可処分所得を持つ層を対象にしている。そうしたBOPビジネスの考え方は、最貧層の生活に注目すると見逃してしまう可能性がある。
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続いて、同じくタタ・グループのタタ・ケミカルズ新事業・技術革新センターのアルプ・バスー所長が「科学で社会に奉仕する−飲料水の挑戦−」をテーマに、具体的なBOPビジネスの事例として浄水器の開発について説明した。同所長が強調したのは、BOPビジネスを展開する上で不可避な製品供給とアフターサービス網の重要性だ。同社の浄水器のユーザーは、都市部と農村部に偏在している。そうした広大なエリアに製品を供給し、故障などの際に対応できる体制整備が必要だ。流通網が未発達なインドでは体制整備が特に重要で、製品の市場浸透の肝になる。タタ・グループではこうした体制整備をグループ企業間の協力の下で実� �した。
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続いて、民間NGO・農村地帯適正テクノロジー研究所(ARTI)の代表を務めるA.D.カルベ氏が「BOP層に活力を与えるために」と題して発表した。ARTIは農村部の低所得者向け適正技術の開発を担い、農村の生活実態に合わせた安価で環境負荷の少ない製品・技術の研究を通じて、雇用創出、起業支援、所得向上を目指している。フィリップス・デザインとの共同事業によるスモークレス調理用かまど開発などの実績を持つほか、プロジェクトサイトでBOP層の生活支援につながるさまざまな機材の開発や取り組みを行っている。
その特徴は、低価格でありながら複雑な技術を必要とせず、故障しても利用者のBOP層が自らメンテナンスしていけるような機材の開発だ。ARTIのプ� ��ジェクトサイトではこのコンセプトの下に、ゴミからガス燃料を発生させる装置やサトウキビなどの残りガラから炭を製造する装置などを製造している。
<日本企業は試行錯誤段階>
セミナーには、四国化成とNECも参加した。特に、四国化成は早稲田大学と共同でインドでの安全な飲料水供給と現地サプライチェーンの確立による貧困削減ビジネスの事業化を目指している。同社は既に事業化に向けた取り組みを実施しているが、BOPビジネスへの参入にはやはり高いハードルがあるというのが本音のようだ。今のところ、BOPビジネスに関心を持つ日本企業の多くは大企業だが、具体化した案件は少なく、当面は事例研究などを通した試行錯誤が続きそうだ。
(飯田康久)
(インド・日本)
通商弘報 4f7a678c88f68
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