『仮面ライダーカブト』(かめんライダーカブト、欧文表記:MASKED RIDER KABUTO)は、2006年(平成18年)1月29日から2007年(平成19年)1月21日までテレビ朝日系列で毎週日曜8時00分から8時30分(JST)に放映された特撮テレビドラマ作品、及び作中で主人公が変身するヒーローの名称である。
「平成仮面ライダーシリーズ」第7作である。キャッチコピーは「天の道を往き、総てを司る!」、「俺が正義」。
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[編集] あらすじ
1999年10月19日、地球に飛来し日本・渋谷に落下した巨大隕石により、その周辺地域は壊滅した。そして7年後の2006年、人間を殺害しその人間に擬態する宇宙生命体・ワームが出現。ワームに対抗するため、人類は秘密組織ZECTを結成し、マスクドライダーシステムを開発した。一方、ZECTの見習い隊員・加賀美新は、自らを「天の道を往き、総てを司る男」と自称する天道総司と出会う。
[編集] 特徴
平成仮面ライダーシリーズ7作目。仮面ライダーシリーズ生誕35周年の記念作品である。
前作『仮面ライダー響鬼』とは打って変わり、モチーフに昆虫の採用[1]、「変身」のかけ声の復活、バイクの常用、キックの必殺技や仮面ライダー自身による必殺技名の発声などの昭和仮面ライダーシリーズの要素、一般人の姿と怪人の姿を持つ敵、組織化されたヒーロー、ライダー装着者の交代劇など、これまでの平成仮面ライダーシリーズの要素が盛り込まれている。同時にプロデューサーの梶淳は制作発表の場で「原点回帰ではなく、仮面ライダーの限界・頂点に挑む」と述べており、企画書には「いいものは焼き直しと言われようと取り込み、不要なものは斬新そうでも容赦なく切り捨てる」と記されている。
それまでのシリーズ作品でもよく登場していた「料理」が特に大きくクローズアップされており、主人公を始めとした数多くの登場人物が料理を作って嗜む。コメディの比重も高く、暗く重くなりがちなストーリーを和らげ、少しでも作品全体のムードを明るくすることが心掛けられた。特に『カブト』においては、天然キャラによるものの他、不条理でシュールな展開といった、従来のシリアスな平成仮面ライダー作品ではあまり見られなかったコメディ手法が多かった。このコメディ要素はその後の作品にも引き継がれていき、特に次作『仮面ライダー電王』や『仮面ライダーW』では、更に比重が置かれるようになる。
[編集] スタッフ・配役
東映側プロデューサーに『仮面ライダーアギト』から『仮面ライダー555』を手がけた白倉伸一郎と武部直美のコンビが3年ぶりに復帰した。メインライターは、同じ白倉・武部作品の『Sh15uya』を手がけ、前作「響鬼」の後半から平成ライダーシリーズに参加し、シリーズ初のメインライターとなる米村正二が務めた。その他に俳優の弓削智久や唐橋充[2]、音楽を手掛ける蓜島邦明、『555』以来のライダー復帰となる田﨑竜太や『剣』以来の長石多可男など、平成ライダーや『Sh15uya』共通のキャスト・スタッフが多数参加していることも本作の特徴である。過去の平成仮面ライダーのレギュラー経験者のゲスト出演も多い。また当時28歳だった柴崎貴行が本作終盤で本編監督デビューを飾っている。
スーツアクターにおいても、主人公は『剣』までと同じく高岩成二、2号ライダーは伊藤慎が担当した。
白倉プロデュース作品の多くに参加している井上敏樹をメインライターにしなかったことについて、白倉は「井上と一緒に作ると、お互いの言いたいことが解ってしまい、今までと大差ないものになりそうだから」と語っている(全体の3分の1にあたる16回は井上が担当している)。
[編集] 特撮演出
本作の戦闘演出の中で代表的なのが「クロックアップ」である。ライダーの超高速移動は、『仮面ライダー龍騎』のアクセルベント、『555』のアクセルフォーム、『剣』のマッハジャガーなど、過去作でも取り組まれてきた。しかし本作が過去作と大きく異なるのは、過去作で「必殺技としての高速移動」が設定されていたのに対し、本作のクロックアップは敵味方双方が不可視かつ高速で動くことにより、「常人には入り込めない世界」を作り出す点に主眼が置かれている。クロックアップの発想は『龍騎』のミラーワールドに近く、戦いの原則として設定されている。
プロデューサーの白倉は、特撮誌のインタビューにおいて、「『気付いていないだけで、実は自分のすぐそばで仮面ライダーが戦っているかもしれない』という感じを出したかった」と語っている。クロックアップの演出の例については、#クロックアップを参照。
[編集] 評価
玩具売上げは、主力玩具である変身ベルトの好調により年間総売上71億円を記録。目標数値の75億円には若干届かなかったものの、前作『響鬼』の65億円からは大きく持ち直し、商業的には上々の成果を収める。
昆虫をモチーフとしたデザインの評価は高く、特に終盤に登場し、「ライダーキック」「ライダーパンチ」を必殺技とする仮面ライダーキックホッパーとパンチホッパーは、石森プロが「こういうこと言うのは珍しいんですけど、初めて文句なくマスクが格好いいと思いました」とデザイナーに電話をかけたほどである[3]。
[編集] 登場人物
「仮面ライダーカブトの登場人物」を参照
[編集] マスクドライダー
「仮面ライダー」に相当し、ゼクターが選んだマスクドライダーシステム(後述)により変身した資格者。劇中ではマスクドライダーまたはライダーと呼ばれるが、1度だけ地獄兄弟(正確には矢車)がドレイクを「仮面ライダードレイク」と呼んでいる。序盤でザビーの資格者(加賀美、影山)のみ、胸にザビーの形状のマークが浮かび上がるシーンがある。
資格者が変身する際、ゼクター及びゼクターと対になる端末、変身ツールを身に付ける。変身ツールとゼクターが合体することで、ゼクターより「Henshin」と発声されマスクドライダーに変身する。
[編集] 共通機能
[編集] マスクドライダーシステム
「マスクドライダー」に変身するために必要な特殊戦闘システムの総称。ZECTにより開発された。いわゆる"武装装着型"のライダーに分類することができる。ワーム戦には不可欠な「キャストオフ」と「クロックアップ」を有する。
物語の進展に伴い、資格者やシステムそのものにまつわる謎や秘密を多々有する、物語の根幹に密接に関わる。主な謎や秘密としては、天道がなぜシステム完成以前にライダーベルトを所持していたのか、ザビーやガタック以外の資格者がどのようにゼクターを入手したのか、ワーム襲来よりも前の、35年前(1971年)[4]の4月3日から計画が始動していたこと、その時に生まれてもいない加賀美がガタックの資格者として選定されていたこと、カブトとガタックのシステムに本人の意思に関係なく、ワームを完全撃滅する"暴走スイッチ"が密かに仕込まれていたことなどがある。しかし、この大半は劇中で明かされていない。
- マスクドフォーム
- 変身直後であるパワー重視の重装甲形態(ホッパーシリーズ及び劇場版のみ登場のライダー達は直接ライダーフォームへと変身する)。ヒヒイロノカネという未知の金属で製造されたマスクドアーマーが全身を覆っており、ファンデルワールス力によってライダーアーマーと結合している。この形態ではクロックアップや必殺技は使用できない。
- ライダーフォーム
- キャストオフを経て変身する事実上の基本形態。クロックアップ及び必殺技が使用可能。必殺技の攻撃パターンはそれぞれ異なるが、共通項として技の名称の先頭に「ライダー」が付くことが挙げられる。
- ハイパーフォーム
- カブトが(バトルDVDではガタックも)ハイパーゼクターによってハイパーキャストオフした最強形態。各スペックの向上に加え、ハイパークロックアップが可能となる。
[編集] 変身ツール
- ゼクター
- ゼクターはライダーへの変身に必要なツールであり、自己判断能力を持つ昆虫型コア。外見はそのゼクターにより変身するライダーのモチーフとなる生物に準ずる。資格者の基準は各ゼクターにより異なる。有事の際にはその資格者の元へジョウントで移動、資格者が身に付けた変身ツールと合体することで、資格者をライダーへと変身させる。召喚時にはゼクター自ら敵を攻撃することもある。自由意志が高く、料理を手伝ったり野球を応援に来たりする場面もある。また、ゼクター自身の意思で装着者から離れると強制的に変身が解除される。再生能力も備え、プレス機で押し潰されてもすぐ元通りに修復される。
- ザビー、ドレイク、サソードの3つのゼクターは、ユニットの一部になっているパーフェクトゼクターからの召喚命令を現行の資格者よりも優先するようになっている。実態はネイティブが対ワーム用に技術提供した兵器。そのためZECTが反ネイティブ対策を視野に開発したゼクター以外は、ネイティブからの命令も受理する。
[編集] キャストオフ / プットオン
- キャストオフ
- マスクドフォームからライダーフォームへと2段変身する工程。これは昆虫の脱皮に相当し、キャストオフとは「脱ぎ捨てる」の意。
- 各ゼクターにある2段変身スイッチを操作することでゼクターから「Cast Off」と発声され、マスクドアーマーが弾け飛び、最後にゼクターより「Change - 」( - の部分は各ライダーのモチーフの英語名)と発声されライダーフォームへの移行が完了する[5]。
- 物語序盤では、この時飛散するマスクドアーマーでサナギ体を一撃で撃破することもあった[6]。このシステムはカブトエクステンダーなどにも応用される。
- ハイパーキャストオフ
- ライダーがハイパーゼクターを用いてハイパーフォームに強化変身する工程。ハイパーゼクターのホーンを1度倒すことにより「Hyper Cast Off」の電子音とともに変身する。キャストオフとは異なり、新たなパーツが発生する。
- プットオン
- キャストオフとは逆の工程を踏む(各々のゼクターの2段変身スイッチを逆の順序で操作する)ことで、ライダーフォームからマスクドフォームへ戻ること。その際ゼクターからは「Put On」と発声され、マスクドアーマーが再構成される。マスクドアーマーの再構成はアーマー全体から任意の一部分のみまで可能である[7]。主に防御力を高めるために用いられるが、ガタックは遠距離攻撃(ガタックバルカン)のために用いることもある。
[編集] 仮面ライダーカブト
天道総司(旧名は日下部総司)が変身するマスクドライダー。モチーフはカブトムシ(マスクドフォームは蛹)。基本カラーは赤、複眼の色は水色。誕生の詳細を知る者からは、「光を支配せし太陽の神」と呼ばれる。なお、必殺技の数は劇中未使用と合体技を含め平成ライダー2位の16である。綴りは「KABUTO」。